Pretty Woman’s>Column

気になる街を歩きながら、その街の「今」を切り取るコラム。という体でスタートした、ただの散歩日記。第1回は「浅草」へ――
なぜ今回この街を取り上げたのかというと、私が今、近所に住んでいるから。そんなコストパフォーマンスもきっちり意識しながら、自宅を出て、まずは浅草寺へ向かう。
まずは雷門。ぶら下がる提灯は去年新調されたらしい。観光名所の近くに住んでいると意外に足を運ばないというのは本当で、この地に来てから半年あまり、しっかり目にするのは初めてだ。
絶好の記念撮影スポットだけに観光客が多く、それを避けるようにして、仲見世は通らずに脇道から浅草寺の境内へ。境内の右手には大きくスカイツリーが見える。
せっかくだからとお参りしようとすると、思いのほか外国人が多いことに気づく。確かに、雷門のビジュアルなどは日本を象徴する風景として紹介されていることも少なくない気がする。かくいう私自身もまずは雷門を見ようと思ったし……。

そして浅草寺を後にし、左に折れて六区方面を目指す。
1960年代くらいまで、浅草六区といえば芸能・文化の発信地であったらしいのだが、今ではその見る影もない。映画館は一件もなくなり、かろうじて演芸場とストリップ劇場が何件か残るだけの六区の中心は、今や場外馬券場とドンキホーテ。来年にはかつて浅草のシンボルであった凌雲閣を模した商業施設が、大手パチンコチェーンによって建てられるらしい。
その後、花やしきやホッピー通り、リニューアルした東武浅草駅など、一通りを歩いたが、ガイドブックで見たことのあるような景色そのまま。裏道も含め、どこもわりと小奇麗にしているのが印象的だった。

この地に住んで半年、ようやく歩いた浅草の中心地は、観光客が多いのにどことなく寂しげだった。いや、観光地に“なり過ぎている”ところが、そう感じさせたのかもしれない。

●Profile
テツ・キタノ(フリーライター)
出版社で10年あまり、さまざまな雑用を目が回るほどこなし、先が見えなくなってフリーに。大手求人誌やWebサイト上で、かつての自らを諭すような求人情報を制作しながら、細々と他ジャンルの記事も執筆中。